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いまだ主流は不動産担保 動産金融は根付くのか 問われる銀行業の本質

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銀行に企業を見る目は本当にあるのか──。企業の再生支援が論じられる中、銀行の「目利き力」に対する批判が高まっている。これまでの銀行融資は、不動産担保や経営者の個人保証に依存しがちで、企業そのものの価値をきちんと評価せず、企業の再生支援に対応し切れないのではないか。そんな見方は少なくなかった。だが、金融庁が監督方針でうたうまでもなく、世の中の流れは企業そのものの価値に基づいた融資へ向かい始めている。

一例が、東京都が2014年5月に開始したABL(アセット・ベースト・レンディング)制度だ。地方自治体が提供する中小企業向け融資制度といえば、これまでは保証枠の提供が中心だった。しかし、東京都は同制度を導入することで新機軸を打ち出そうとしている。それがABL、すなわち、不動産ではなく中小企業が保有する機械設備や売掛債権、在庫の事業価値を担保にした新たな融資制度だ(図表1)。

[図表1]
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中小企業などへの貸し付け条件変更を求めた金融円滑化法が13年3月に終了するのに合わせ、「導入を検討した」(東京都産業労働局金融部)という同制度。都が経費の一部を補助する。取り扱う銀行や信用金庫の数は、当初の19行・金庫から最近では26行・金庫に拡大し、「他の自治体から問い合わせも来ている」(同)という。

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