政治的指導者なら誰もが、自身亡き後を憂うものだ。半世紀以上にわたり、シンガポールを直接的・間接的に支配したリー・クアンユーは、91歳で死去するまでずっと権力の座を守り続けた。彼の指導の下でシンガポールが成し遂げた並外れた成功に鑑(かんが)みれば当然かもしれないが、彼が自身亡き後について心配していたことを記録した回顧録がいくつか残されている。彼を好むと好まざるとにかかわらず(多くの人は好まなかったが)、この都市国家の驚異の繁栄と安定を否定することはできない。

それでも「内閣顧問」と自称するリーの回顧録の数々を見ると、彼が何をいちばん心配していたかのヒントが得られる。過去において彼の功績は明らかだが未来はどうだろうか?

誰がシンガポールの次世代の指導者になるか決める点において、リーが過去に行った厳しい規制は状況を厄介なものにしてしまうかもしれない。

リーの後継者は明らかだった。首相の座を1990年に(66歳の驚くべき若さで)信頼する朋友ゴー・チョクトンに譲った後、長男リー・シェンロンをその座に就かせる道筋を作り上げた。長男はシンガポールの貿易・工業相、財務相、副首相を経て、2004年にトップの座に就いた。不透明なのは権力が次は誰にどうやって渡るのかである。