「『負の所得税』の早期実現を」

竹中平蔵 慶応義塾大学教授

(撮影:今井康一)

弱者切り捨て論者とのレッテルを張られているが、私も以前から貧困対策を重要だと思ってきた。2006年、政権が代わり仕事を引き継ぐとき、後任に求めた政策の1つが「本格的な貧困調査をしてほしい」ということだった。貧困を解決する政策を作るには実態をきちんと把握できていないといけないが、それを知るためのデータが日本では少ない。

私が貧困対策を重要だと考えるのは、解雇規制の緩和など、これからもっと規制改革を進めることによってこぼれ落ちる人々を救うためだ。規制改革とセーフティネットは両輪の政策である。

具体的には「給付付き税額控除」をぜひ実現すべきだ。これはいわば「負の所得税」と呼べる制度で、低所得者に対して減税や現金給付を組み合わせて割り当てる。英国では1999年に導入され、現在はフランスやオランダも導入している。

今の生活保護は、そうとうに追い詰められてから一定の現金や現物を受給する仕組みだ。働いた分、保護は減らされるので受給者が働くインセンティブを持ちにくい難点があった。給付付き税額控除では働けばわずかでも自分の懐に入るので、労働のモチベーションが高めやすい。