景気は長短さまざまな周期で変動する。約40カ月のキチン循環、ジュグラー循環(約10年)、クズネッツ循環(約20年)、そして約50年周期のコンドラチェフ循環がよく知られる。ところがもっと長い周期の変動がある。人口の波である。

人口波動は生活や文明の盛衰と関連

人口は、領土、自然・資源、軍事力、経済力、技術力と並んで、国力を構成する主要な要素である。

歴史学者フェルナン・ブローデルは大著『物質文明・経済・資本主義 15-18世紀』の最初の章「数の重さ」で、社会の変化を知るうえで人口が重要な指標であることを説く。短くても数百年を周期とする人口の波動は、生活様式、あるいは文明システムの盛衰と関連しているのである。長期的な世界人口の歴史を概観することは、21世紀の人口の状況と文明を理解する助けになるだろう。

欧州で産業革命が始まった18世紀以後、世界人口の増加速度は一段と高まった。左ページ図のように、増加率の高さから見て近代は歴史上、比類のないものだが、近代以前に人口がいつも停滞していたわけではない。世界人口は増加と減退を繰り返しながら、波動的に増加してきた。