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(出所)国学院大学教授・井上順孝

世界各地において、多様な宗教や宗教文化がこれほどまでに混じり合うようになった時代はない。この新たな状況に対応するには、宗教文化についてどのような素養が必要になるだろうか。

日本は島国という地理的特徴から、独自の宗教文化を形成した。近代以前には列島外から幾度か宗教を受け入れたが、それに際しては一種のフィルターがあったといえる。つまり、支配的な階層にとって好ましいと思われた宗教が受容されやすかったし、その受容に関与したのは大抵が宗教家であった。

ところが近代以降はそれが変わった。交通手段の発達によって国際交流は格段に活発となった。国外の宗教の受容も、宗教家だけでなく一般の人々を通してなされる場面が増えた。それがさらに飛躍的に進んだのが、1980年代以降である。

外国との交流は、文化と文化の交流をもたらす。文化の中には宗教が一定の比重を占めているから、日本人が以前にはなじんでいなかったような宗教や宗教文化に接する割合も高くなる。