イラク戦争は、資本主義と宗教の激突を拡大させた(Getty Images)

今年に入って国際情勢が激動している。資本主義、ナショナリズム、宗教の三つの要素が国際情勢を動かすエンジンとしての働きをしている。そのため、この三つの要素を押さえておけば国際情勢を自力で読み解くことができる。

このうち最も重要なのは、資本主義だ。資本には自己増殖していく本性がある。資本は、労働力と生産手段(機械、原材料、燃料など)を商品として購入する。そして、労働力と生産手段を結び付けることによって、新たな商品やサービスを作り出し、それらを売ることによって利潤を得る。そこで得られた利潤で投資をして、資本の自己増殖がなされる。

資本は市場原理に従って合理的に動く。その結果、富める者と貧しい者の格差が拡大していく。さらに資本は民族の壁を超えてグローバル化していく傾向がある。しかし、資本が民族や国家を完全に消去することはできない。日本や米国でトマ・ピケティの『21世紀の資本』がベストセラーになり、世論に影響を与えている。これは資本に対する国家の異議申し立てだ。すなわち暴力装置を合法的に独占する国家の特権を生かして、累進的な所得税、相続税に加え、資本税を徴収することにより、富める者から貧しき者への再分配政策を行おうとするのである。このような国家による所得の再分配政策とは別の方法で国民を豊かにする方法も存在する。他国からの搾取と収奪によって、自国民を豊かにする帝国主義政策だ。帝国主義に関しては、圧倒的に強い覇権国家が存在するときは、覇権国家の政策が普遍的価値と見なされる。19世紀末~20世紀初頭の英国、20世紀後半の米国がそのような覇権国家だった。それだから、英国主導の時代は自由主義が、米国主導の時代は新自由主義が普遍的な原理と見なされた。