有料会員限定

テロと戦争 今、そこにある危機

✎ 1〜 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14
拡大
縮小

徹底的な敗戦から70年。これまで日本は幸いにも戦争をせずに来た。だが、今や隣国との緊張関係に加え、テロの脅威が日本人の安全を揺るがす。テロと戦争の境目があいまいになる世界で、気づけば日本もその当事者になっていた。今、そこにある危機を真剣に考える。

(本誌:西村豪太、中川雅博、福田恵介 ライター:竹内一晴)

今を去ること5年前。悪名高い独裁政権を相次いで崩壊させた「アラブの春」は、中東・北アフリカに民主化と安定をもたらすかと期待された。だが、結果的には、パンドラの箱が開いてしまった。

米国の諜報活動の元締であるジェームズ・クラッパー国家情報長官は2月26日、2014年の1~9月に世界で3万1000人がテロの犠牲になったと述べた。13年通年の2万2000人を大きく上回り、データがある過去45年で最悪の数字になる。その多くを仕掛けたのは、イラク、シリアの一部を支配するイスラム過激派組織「イスラム国」だ。

独裁政権が無力化した地域でイスラム過激派が勢力を拡大。国境を越えて異教徒と戦うことを呼びかけるグローバル・ジハード(聖戦)が広がり、欧州などでもローンウルフ(一匹狼型)テロが頻発している。

日本人にとってもひとごとではない。シリアで拘束した湯川遥菜、後藤健二の両氏を殺害したイスラム国は、すべての日本人を攻撃対象にすると宣言している。海外で活動する日本企業が標的になりうることは言うまでもない。日本企業が進出を加速する東南アジアでも、イスラム国の影響下にある組織は活動中だ。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内