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低成長下の利潤追求でブラック部門が急増中 日本の格差

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こんの・はるき●2006年、中央大学在籍中にposseを立ち上げ、年1500件超の労働相談にかかわる。一橋大学大学院博士課程在籍。13年大佛次郎論壇賞を受賞。(撮影:尾形文繁)

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ピケティが話題になっているように、低成長時代にあって、私たちはどのような社会を展望するのかを問われている。本稿では、労働問題の観点からこの問題に一石を投じたい(なお、ピケティ氏自身が自己の「ピケティ入門」として推薦する『nyx(ニュクス)』誌所収の論考「不平等の長期的趨勢」をぜひご一読いただきたい)。

まず、大前提を確認しておきたい。歴史的に見て、爆発的な成長は各国で一度しか起こらないということだ。年間成長率が毎年5%を超えるような経済成長は、確かに各国ともかつては経験したことがある現象だ。だが、それはさまざまな条件が重なって初めて実現する。まず、「巨大な未開拓の市場」の存在である。それまで生活の多くが自給的経済の中にあった人口があり、それらが急激に市場に組み込まれる。日本の戦後経済成長も、7割を占めていた農村人口が急激に都市に流入し労働者・消費者となることで急激に市場を拡大したのだった。

また、高度成長の背景にはつねに「環境問題」が潜んでいる。急激な開発を低コストで進めることで、急速な経済成長を実現するため、ほぼ必ず環境破壊を引き起こすのである。成長著しい近年の中国も「毒の川」「PM2・5」など公害の嵐である。このような「経済成長」の負のコストについて、環境経済学では「外部不経済」の概念を用いて説明してきた。

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