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ピケティの「r>g」を投資に生かそう 低成長時代の運用をどうするか?

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やまざき・はじめ●1958年生まれ。東大経済学部卒。三菱商事、住友信託銀行等を経て、現在は楽天証券経済研究所客員研究員、獨協大特任教授。(撮影:梅谷秀司)

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ピケティ氏を話題にする際によく取り上げられるのが、r>gという数式だ。rは資本の収益率であり、gは経済の成長率だ。r>gは何が問題なのだろうか。投資を扱うファイナンスの常識からすると、r>gはたいへんな問題などではなく、むしろ「そうでなければ困る」というくらい当たり前の条件に見える。

[図表1]
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(撮影:尾形文繁)

図表1の(1)式は、今期の収益がEで、このEが一定の成長率gで成長する場合に、投資家がrの割引率で将来価値を現在価値に割り引く場合の、適正資産価格Pを求める計算式だ。初項がEで公比が(1+g)/(1+r)の等比級数の和を求める公式から簡単に導くことができる。

筆者が思うに、投資家にとって、たぶん最も実用的で示唆に富む公式の一つだ。割引率(投資家が要求する収益率)と成長率、特に成長率が将来も均一に一定という仮定は、現実に当てはめる際に工夫が必要だが、この式を頭に入れておくと、株価や不動産価格などが変動する理由や、時には適正レベルがわかる。

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