世界中で各国の国内政治が危機に直面している。選挙のたびに投票率が過去最低を更新し、政治家が厳しい批判にさらされる。主要政党は、国民の支持を失うまいと躍起になって身動きが取れなくなり、過激な主張に迎合するか、大衆迎合的な反体制運動に屈するリスクを負うかの選択を迫られている。

発端は冷戦の終結にさかのぼる。破綻した共産主義イデオロギーの挫折イコール市場の勝利と解釈したのは軽率だった。共産主義が見捨てられたと同時に、私たちの公共的利益や理念を調整しまとめ上げる中核となるはずの、国家という概念もまた切り捨てられた。

そして個人が、変革を促す究極的な主体となった。それはエコノミストが経済モデルを語る際に合理的な行為者として想定する個人だ。このような個人のアイデンティティは、階級の利益やその他の社会学的特質に根差すのではない。その拠り所は市場の論理だ。生産者として、消費者として、また有権者として、自己利益の最大化を目指すよう強く促す。

2008年に世界金融危機が起こり、収入と富の不平等が急拡大したことで、経済学の浅薄なうぬぼれは信用を落とした。ここで存在感を高めるべき政治も信頼喪失状態が続いている。主要国、とりわけ北米と欧州のリーダーたちは、自らの政治的選択を正当化するのに、経済理論に依存している。