「税務調査に伺いたいのですが」

ある日突然、税務署からかかってくる一本の電話に、多くの人は驚くだろう。納税者の自宅へ赴いて調べる実地調査が入るのは、申告をしてから大抵1年以上も後だ。税金を納め、相続財産の使途を決めた段になって、税務署はやってくる。

実地調査の入るすきがない申告書を作るのが第一だが、相続税の申告をすれば調査を受ける可能性は決して低くない。ほとんどの人が経験のない実地調査は非常に緊張するもの。入念に準備をしておく必要がある。

実地調査では、通帳や印鑑に加え仏壇の中まで調べられることがある

名義預金がらみの質問は慎重に回答しよう

実地調査は通常1日がかりで行われる。日程は納税者側の希望を述べることができ、事前通知から2~3週間後の日程を組むことが多い。午前のヒアリングの後、1時間の昼休憩を挟んで、午後は通帳や証券類など現物の調査が行われる。相続税の申告を税理士に委任している場合は、税理士も調査に立ち会う。

“本番”の日の午前10時──。税務署の調査官は二人で自宅にやってくる。一人が質問をしている間、もう一人は記録を取りつつ相続人の表情をうかがっている。相続人がウソをついていないか、あるいは気になるものの方向に目線を向けないかをチェックしているのだ。

大抵の調査官は紳士的で、ドラマで描かれるような怖い調査ではない。聞かれるのは親族の状況や被相続人がどんな人だったか、預貯金は誰が管理していたかといった事柄だ。被相続人の口座から多額の出金がある場合には使途を確認し、時には家族名義の預貯金口座にまで話が及ぶこともある。