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折れた「叛逆の翼」 スカイマーク経営破綻

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日本の空の自由化を牽引してきた新興企業が倒れた。業界の異端経営者は、巨額の債務を残して舞台を降りた。最後の独立系勢力は、このまま消えてしまうのか。

(本誌:平松さわみ、武政秀明、杉本りうこ)

会議室の壁際には、丸顔に眼鏡のあの顔があった。1月28日午後8時。スカイマークの臨時取締役会は、西久保愼一の社長辞任と民事再生法の適用申請を決議した。取締役会後、社内にまだ残っていた従業員数十人が会議室に招き入れられ、西久保の最後の姿を目にする。「これから大変だろうが、頑張ってほしい」。時折声を詰まらせつつも終始笑顔を貫き、最後に手を振りながら姿を消した。イントラネットに一つメッセージを残して。「挑んだ、飲んだ、笑った、飛んだ、そして、愛した。Thank you and Good bye!」。

西久保流のロマンを感じさせる言葉だが、こんなせりふで幕が引けるのは映画か小説の世界だ。現実は厳しい。経営破綻したスカイマークは、経営再建に向けた長い道程を歩まねばならない。

申請から1週間後の2月4日午後2時。東京・永田町で債権者説明会が開かれた。井手隆司会長は深く頭を垂れるとともに、緊張した声音で陳謝した。「大型機材を導入した結果、円安もあって支払額がかさんだ。低価格運賃というブランド力を発揮できなくなった。しかし、債権者の皆様に納得してもらえるような再生計画を作る。だからもう一度、ご協力をいただきたい」。

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