(時事)

「非常に厳しい状況だ」。1月下旬に開かれた石油連盟の会見で、木村康会長(JXホールディングス会長)はうつむきがちに語った。

石油元売り業界は目下、頭の痛い問題に直面している。原油価格の急落によって、高値で調達した在庫に巨額の評価損が発生するからだ。「1バレル=50ドルの原油価格を前提にした場合、最大手のJXで約2000億円、出光興産以下の4社でも500億~1000億円の評価損が出るだろう」とJPモルガン証券の西山雄二アナリストは試算している。大手5社とも2014年度の赤字転落は必至だ。

石油業界はただでさえ、需要の縮小に悩まされている。人口減少や低燃費車の普及で、ガソリンや軽油など燃料油の販売はこの10年で約2割も減少(図表1)。にもかかわらず、原油を精製して石油製品として販売する元売りの足並みはそろわず、供給の削減はなかなか進んでいない。

[図表1]
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そこで経済産業省は元売りの共倒れを防ぐため「エネルギー供給構造高度化法」を制定。14年3月末と期限を設け、元売り各社の製油所の閉鎖や精製能力の削減を促してきた。だが、需要の減少は供給の削減を上回るペースで進む。「高度化法への対応で供給は減ったはずなのに精製マージンは改善していない。そこに原油安がきた。泣きっ面に蜂だ」(石油元売り大手幹部)。

供給削減が追いつかないことにしびれを切らした経産省は、昨年6月に産業競争力強化法第50条を石油業界に初適用。11月には高度化法の告示を改正し、17年3月末までに業界全体でさらに約1割の精製能力削減を迫った。1月に閣議決定された補正予算案には95億円を組み入れ、製油所の統合に補助金を出すなど、官主導で再編を進めようとしている。

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