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中国の歴史カードに安倍外交は耐えられるか 戦後70年、

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新年恒例の一般参賀で、参賀者に手を振って応える天皇、皇后両陛下(1月2日、皇居・宮殿東庭)(時事)

昨年末の総選挙で圧倒的な権力基盤を維持した安倍政権にとって、今年の国内政局に大きなライバルや関門は存在しない。外交課題にどう取り組み、国際社会とどのような関係を構築するかが、最大のテーマとなるだろう。今年は戦後70年という節目であり、国際世論との関係を考えるうえで、歴史認識こそが外交戦略の試金石となる。

1月2日のNHKニュース7は、今年の外交課題というセクションで、戦後70年と日本外交の課題について説明していた。その中で、中国の習近平国家主席が抗日戦争勝利70周年という歴史カードを外交に利用しようとしていると伝えていた。今や、NHKニュースは政権の現状認識を忠実に伝える、その意味では便利な媒体である。そして、政権の弱点もそこに露呈される。

中国が対日戦勝70年という節目に当たって、ファシズム対民主主義という第2次世界大戦の構図を今に当てはめ、戦勝国連合というつながりで味方を増やそうとしていることは事実である。これに対して日本が外交戦略を考えるとき、安倍政権が言っているような「対外発信の強化」をいくら進めても、むしろ中国の思うつぼにはまる。日本の侵略性を否定したり、慰安婦問題における日本の責任を否定しようとしたりする政治家が、いくら外国に情報を発信しても、国際社会ではまったく相手にされない。70年の節目で国際的孤立を深めるだけである。

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