ソウルの大型書店に並ぶ日本関連本

日本では昨今、いわゆる「嫌韓本」が売れており、大型書店などには専門コーナーまで設けられていることもある。では、韓国の場合はどうなのだろうか。反日感情が強い国だから「嫌日本」が大量に出版され、売れていそうである。しかし、実はそうしたたぐいの本はあまり出版されておらず、際立って売れているわけでもない。

確かに1990年代初頭には、そうした本が売れた時期もあった。ただし、韓国人にとって「反日」とは、一種の一般常識のようなもの。そうではない人々は親日派=売国奴だ。ゆえに、「反日」が当たり前の韓国で、そうした「一般常識」を書き連ねた本を出してもあまり売れない。言うなれば、熱帯で暖房器具を売ろうとしても売れないのと同じ。「嫌韓」が目新しく、これまでなかった「嫌韓本」が売れている日本とはまったく事情が異なるのである。

「反日」が当たり前の韓国では、日本関連書籍の傾向も限られてくる。韓国における日本関連書籍は、徹底して日本に批判的な本と、その反論本、日本の成功事例・失敗事例を分析した本、エッセーや日本文化論、歴史通俗書などに分けられる。この四つのうち主流を成すジャンルは、「徹底して日本に批判的な本」と、「その反論本」である。

ここでは両ジャンルから新刊本を1冊ずつ紹介する。まずは前者に属する、キム・サンテ『日本、消滅するか解放されるか』(チェクポセ、2014年)という本。その内容は、古代日本は中国・朝鮮半島の政治的・文化的植民地であったが、鎌倉時代に至ってサムライ(幕府)政権が登場してから侵略性・暴力性が際立つようになり、周辺国にもさまざまな被害を与えるようになったというもの。近現代に至っては侵略戦争を引き起こし、その揚げ句に大敗北したが、いまだ反省していない。

そうした日本はいっそ「消滅」するか、民主主義の力によってサムライ文化のくびきから「解放」されなければならない、という結論である。「反日」が当たり前の韓国でこうした内容の本が出版されているのはある意味、当然と言えるだろう。

観念論の域を出ない新鮮味に欠ける内容