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自己過信では日本が沈む 中国・韓国通の外交官が語る日本論の落とし穴

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韓国に設置された教育施設・英語塾の授業風景(AFP=時事)

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「夜郎自大という、世間知らずの自信過剰を指す言葉がある。謙虚さという長所を損なうと日本が沈んでしまう」。外務省で初めて中韓両国で公使を務めた道上尚史氏は、「度の過ぎた日本礼賛は日本の足を引っ張る」と警告する。

人であれ国家であれ、欠点を指摘された時「長所もある。これでいい」と強がっていると、自分が伸びる道を閉ざすものだ。適度の自信を保ちつつ弱点を直視する、日本のためになる日本論が欲しい。

ソウルでは、日本でも有名な二つの企業グループの大幹部が口をそろえた。「日本企業など相手ではないという傲慢な社員がいる。技術開発の厚みでは比較にならないのに。私はいつも日本の底力を強調している」。日本を知り、世界もよく見えている彼らは、韓国の夜郎自大の危うさを認識している。

2007~09年、北京勤務の頃の話だ。格差や腐敗、環境といった中国の諸問題をよく認識し、また世界にアンテナを張り、世界で自国の評判が悪いことを冷静に把握している各界のエリートがいた。「極端な日本批判やナショナリズムは中国の利益に反する」「日本は非常に水準の高い先進国。中国は中の下。GDP(国内総生産)で抜いても勘違いしてはいけない」との新聞論説もあった。ある共産党幹部は筆者に、「外国人を積極的に招き、中国を理解してもらうのは重要な任務。中国を嫌いな国を重視する」とささやいた。

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