日本とはいかなる国か、日本人とはどんな特徴を持った人々なのか。そんな問いを掘り下げた日本論、日本人論は、出版業界では不滅のテーマだ。

戦後何度となく繰り返されてきた日本論ブームが、再燃する気配を見せている。しかし、昨今の嫌韓・嫌中ムードの裏返しか、根拠の乏しい日本礼讃に終始するだけの本も少なくない。この手の駄本を真に受け、ビジネスの場で話題にして恥をかくのは避けたいところだ。

過去の名著には再読に堪えない本も

一方で、過去には名著とされた日本論でも、現在再読に堪えるとは限らない。日本の世界での位置づけも、日本人の暮らしのありようも大きく変わっている。日本人はほかの民族とは異なる特殊な存在だ、と強調するところに日本論は立脚するが、着目すべきポイントは時代によって動いている。

多忙なビジネスマンが時間を割いて読むに足る、現在のスタンダードと呼ぶにふさわしい日本論の名著とはどんな本か。経済、文化、社会の各分野をウォッチする当代屈指の読書家に選んでもらった。学術書からコミックまで、読んで納得の厳選ブックリストをお届けする。

 

いけだ・のぶお●1953年京都府生まれ。78年東京大学経済学部卒業、NHKに入局。報道番組「クローズアップ現代」などを手掛ける。退職後に慶応義塾大学で博士(学術)取得。著書に『「空気」の構造』(白水社)など。(撮影:梅谷秀司)

池田信夫の10冊

日本人の行動や日本型組織の深層 その論理と心理を歴史から学ぶ

 

「自転する組織」の病理描く

一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)
一下級将校の見た帝国陸軍 (文春文庫)(文藝春秋/345ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

『一下級将校の見た帝国陸軍』