祖業である音響機器事業を手放す──。パイオニアは昨年秋、事業再編で大きな決断を下した。併せて好採算のDJ機器事業は米投資ファンドに売却する。手元に残したのは車載機器事業だけ。今後の勝算を小谷進社長に聞いた。

こたに・すすむ●1950年生まれ。75年入社。国際畑が長く、執行役員国際部長などを経て、2008年から現職(撮影:尾形文繁)

──音響機器とDJ機器事業を手放す決断を下した理由は?

2009年にプラズマテレビから撤退し、残った車載機器とホームAV(音響機器)、光ディスク、DJ機器を共に成長させていこうとした。

だが、ホームAVの市場は成熟しており、DJ機器もシェアをさらに伸ばすのは難しくなっている。光ディスクも市場が収縮している。

一方、カーエレクトロニクス(車載機器)の事業環境はものすごく変化してきた。通信の高速化や大容量化で、競争相手が従来のようなカーナビのハードメーカーだけでなく、通信、ITといった分野から、われわれの数倍大きい企業にも広がってきている。そこで勝ち残るには、力を分散させていてはダメだ。カーエレにリソースを集中させることが最善だと判断した。

(祖業を手放すのは)忸怩(じくじ)たる思いだが、重要なことは、当社のDNAである“音”へのこだわりは継続させるということだ。