若者論が終焉しない不思議

古市憲寿 社会学者

ふるいち・のりとし●1985年生まれ。東京大学大学院博士課程在籍。同世代を代表する若手論客。近著に『だから日本はズレている』。

僕は世代間格差はあまり問題だと思っていません。

実際のところ、高齢者と若者の価値観の差は昔ほど深刻ではありません。戦前世代と戦後世代、団塊世代の間では価値観の差はとても大きいものでしたが、時代が新しくなるにつれて減っている。NHKの調査などを見るかぎりそれは明らかです。

年を取っても昔ほど価値観に変化がない。漫画にしてもサブカルチャーにしても、若者だけが享受しているコンテンツではありません。

大人と若者の分裂というより、むしろ閉鎖された集団の怖さ、気持ち悪さを感じている。一個の組織にずっと属している人とそうではない人の差が広がっているといってもいい。僕は『だから日本はズレている』という本の中で「おじさん」と表現していますが、これは年齢的に中高年の男性というわけではなく、一つの価値観を疑うことなく既得権益の中で生きている人たちのことです。

東京オリンピックを開催しさえすれば、リニアさえ開通すれば日本経済が復活する。こういった「おじさん」たちのメッセージには違和感を持ちますね。リニアに関してはそもそも時間の短縮になるのか。なったとしても東京と名古屋が同一経済圏になるのか。かつて多摩を筆頭とするニュータウンは中心部と一体化するといわれ、実際はすべてそうならなかった。それよりは世界的にも高い新幹線の運賃を下げたほうが東西はもっとつながるんじゃないですか。