買収交渉が表面化した出光と昭和シェル。企業文化の違いを超えて強みを発揮できるか

業界では再編から最も距離を置いていたはずの2社が動き出した。

2014年の年の瀬、石油元売り大手の出光興産が昭和シェル石油の買収交渉に入ったと報じられた。出光は「事業再編に関して幅広く検討しており、昭和シェル石油とも様々な可能性について協議しております」とコメントを発表、交渉を事実上認めた。早ければ2015年春にも基本合意に達するとみられ、買収が実現すれば売上高は8兆円と、首位のJXホールディングスに次ぐ規模になる。

近年、石油業界への再編圧力は一段と強まっていた。低燃費車の普及や少子化を背景に、石油製品の需要はピーク時の1999年から約3割減少。今後も構造的に一段の需要減少は避けられない。

経済産業省は14年6月、業界に再編を促す産業競争力強化法を石油業界に適用し、調査報告書を公表。さらに11月には17年3月末を期限として、さらなる精製能力の削減を各社に求めていた。

今回の動きについて経産省幹部は、官主導の再編劇との見方を否定しつつも、「出光は焦っていた」と明かす。

JXの売上高は12兆円と圧倒的。3位のコスモ石油と4位の東燃ゼネラル石油は連携を強めている。一方、2番手で独立路線を歩んできた出光は、妙手を打ち出せずにいた。12月中旬に出光の月岡隆社長は「うちは昭和シェルや東燃ゼネラルよりも時価総額が低い」とぼやいていた。

太陽光発電事業に経営資源を投じてきた昭和シェルも、電力会社による発電連携の保留問題を受けて、今後の成長戦略を描きづらくなっている。「昭和シェルの筆頭株主であるロイヤル・ダッチ・シェルは、儲かる上流(油田)開発に投資する一方、下流の精製事業は売却を進めている。今回の買収は株主の意向も強いのでは」(石油業界関係者)という見方もある。

再編の号砲が鳴ったことで、コスモ石油と東燃ゼネラルの動向も注目される。2社は15年1月7日、千葉県にそれぞれ保有する製油所をパイプラインでつなぎ、生産効率を高める。設備の連携から、企業同士の統合に発展するとの見方は業界内でも根強い。