バブルの正しい防ぎかた   金融民主主義のすすめ
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Robert J. Shiller●米イェール大学教授。専攻は金融経済学、行動経済学。1946年生まれ。マサチューセッツ工科大学で経済学博士号取得。「資産価格の実証分析」で2013年ノーベル経済学賞受賞。著書に『投機バブル 根拠なき熱狂』、共著に『アニマルスピリット』など。

金融民主主義の前進こそが解決策

評者 BNPパリバ証券 経済調査本部長 河野龍太郎

バブルは弾けるまで、それがバブルかどうかはわからない。

著者のシラー教授がすごいのは、実証研究を基に今世紀初頭のITバブルやその後の住宅バブルを事前に的中させたことだ。2013年には資産価格の研究でノーベル経済学賞を受賞した。原著は08年8月に出版され、金融危機の到来を的中させると同時に処方箋を具体的に論じている。今なお本書が読まれるべき理由は、邦題のとおり、バブル再発を防ぐための施策を具体的に論じているからだ。

著者は主流派経済学と異なり、経済合理性だけでとらえられない安心や公平さ、慢心などの心理が人々の行動を左右するという行動経済学の立場に立つ。これまでミクロ経済現象を対象としていたが、本書ではマクロ経済現象にも適用される。

米国の住宅バブル発生についても、移民によって人口が増え続ける一方、土地は有限であるため、住宅価格の上昇は永続するという「物語」を確信する人が増えたためだと説明する。

経済の急激な悪化による人々の社会への信頼喪失を回避するため、バブル崩壊後の緊急救済策については弊害を認めつつも容認する。その際、公平さが重要で資産価格下落を阻止する政策は不適切だという。同感だ。