海運市況が停滞している。バラ積み船の全船腹量の半分近くに及ぶ大型船(ケープサイズ、鉄鉱石輸送などに使われる)の1日当たり用船料は2014年秋に反転し2万ドル台へ乗せたが、3万ドル台を超えていた13年の水準をなお下回る。

本来、14年の需給は改善するはずだった。鉄鉱石の最大消費地は、全需要の7割超を占める中国。中国経済は成長鈍化が懸念されるものの、粗鋼生産量は増加傾向が続く。国産鉱石から輸入鉱石へ切り替えも進み、需要は底堅い。08年のリーマンショック前に発注された新船竣工もようやく一服しているのだが……。

海運市況は15年も低迷する。背景には二つの構造変化がある。第一に投機資金の流入だ。12年以降、海運市況や船価が底に達したと見たファンド資金などが造船市場に大量に流入した。海運市況の低迷を受け、一部はキャンセルされたとみられるが、潜在的な船腹供給が増える圧力として働いている。

第二に荷主である資源・穀物メジャーの自社船化だ。たとえばブラジルの資源大手ヴァーレは、世界最大級の鉄鉱石船「ヴァーレマックス」を中国向けに就航させる見込みだ。自社船を活用して輸送コストを削減する狙いだが、こうした動きはスポット需要自体を縮小させるだけでなく、運賃交渉などの際に、大口荷主による発言力を強めさせている。

日本の海運各社の場合、ケープサイズで市況に連動するフリー船は1~2割。残り8~9割は荷主と5~15年の契約を結び、安定収益を確保している。損益分岐点は2万~2.5万ドルとみられ、この水準を割ると赤字運航を強いられる。市況低迷が長引けば、影響は免れない。