前回五輪当時の鹿児島県の子どもたち。聖火ランナーは多くの未来ある子どもたちが務めた(朝日新聞社/時事)

前回の1964年の東京五輪と、来る2020年の東京五輪とで、前後の状況は、決して似ているとはいえない。違うところは山ほどある。

最大の違いは人口増加率。前回は人口が増えていたが、今回は減少している。しかも今はデフレだ。

人口が増えず、インフレでもなければ潜在成長力は落ちていく。60年代の高度成長期、いわゆる「いざなぎ景気」の時期は高速道路や新幹線など社会インフラが整備された。それが経済成長を大いに押し上げた。

賃金も似ていない。60年代前半、農村から都市へ人が移動し始めたが徐々に飽和。労働市場での賃金上昇圧力が高まって、前回の五輪後に賃金が大きく伸びた。その後は第1次オイルショックを迎えて賃金が上昇し、物価も上がった。物価が上昇したから賃金が上がる、逆の連鎖もあった。

今回はアベノミクスで政府が賃金上昇を盛んに訴えている。14年度上期の物価上昇率は消費税要因を除いて1.4%だったが、14年度のベースアップ率は0.4%と物価を下回った。60年代後半の賃上げ率(含む定期昇給)の12.6%には遠く及ばない。

株価については、前回は株式市場など金融市場がまさに創生期にあった。資本市場の自由化が前回の五輪の頃に始まり、規模が急拡大した。それで前回は株価が大幅に上昇した。これほどの大膨張は今後見込めそうにない。

似ていると思えるのは失業率ぐらいだ。前回の五輪後には余剰労働力が底を突いて、失業率も低レベルだった。今回も人手不足で低下傾向にある。だが、前回ほどのレベルにまで下がるかといえば、それは難しそうだ。

同じ二番手集団でも前回とは勢いが違う