甘利経済財政担当相は「交渉は9合目まで進んだ」と言うが…(撮影:尾形文繁)

妥結か、それとも漂流か──。2013年3月に安倍晋三首相がTPP(環太平洋経済連携協定)交渉に参加すると表明してから1年9カ月。「9合目に来ている」(甘利明・経済財政政策担当相)という交渉だが、米国の中間選挙後に開かれた11月の中国・北京におけるTPP首脳・閣僚会合でも米国側が最後の最後まで妥協せず、期待された14年中の交渉妥結に至らなかった。米国の政治スケジュールなどを考え合わせると、15年はTPP妥結のラストチャンスの年になりそうだ。

TPPについては現在12カ国が21分野について交渉を続けている。これらのうち、「市場アクセス」「知的財産権」「国有企業」「環境」の4分野を残し、貿易円滑化や政府調達などほかの分野においては、交渉はほぼまとまりつつあるようだ。

国有企業分野の開放についてはベトナムやマレーシアが難色を示している。しかし、TPP交渉の行方を実質左右するのは、日米の2大経済大国だ。TPP交渉と並行して日米間で断続的に協議が続けられているが、米国の自動車と日本の農産物の関税引き下げで双方が譲らず、難航しているもようだ。

農産物分野の市場開放(関税引き下げ)については、自民党内でも反対意見が強い。もし、農産物について関税引き下げで妥結する場合、13年の国会決議や自民党決議との整合性が問われるほか、農業団体の説得など、相応の国内対策が必要になる。

今のところ、日本のコメ(778%)と小麦(252%)、砂糖(328%)の関税は残すが、牛肉(38.5%)と豚肉(差額関税)、乳製品(バター360%、プロセスチーズ40%)の関税を下げ、代わりにセーフガード(緊急輸入制限)を導入して実質的に輸入をコントロールできる権限を残す、「名を捨てて実を取る」シナリオがささやかれている。