少資源国の日本が経済や社会を活性化させるためには、ヒトという資源の活用が欠かせない──。戦後の経済発展を支えた「ヒト中心の発展」という日本の針路が今、大きな曲がり角を迎えている。

一つは女性の社会進出だ。1985年の男女雇用機会均等法制定を挙げるまでもなく、幼少時の教育から就労まで男女を取り巻く環境は20~30年前から均等化している。ところが、いまだ日本の多くの制度や慣行は、子どもが生まれたら女性は家庭に入ることを前提としている。

たとえば子育てと仕事の両立に不可欠な保育所の整備が遅れた発端は、専業主婦世帯を前提とする行政側の意識があったとされる(現在では財源問題が最も大きい)。所得税の配偶者控除や年金の第3号被保険者制度も専業主婦が前提だ。それぞれ103万円、130万円の年収を超えると対象外となるため、大卒や大企業勤務経験のある主婦でも、これ以下の収入に抑える目的でパート労働者として働くことが多い。

その結果パートは「家計補助を目的とした労働」という位置づけが定着し、非正規労働者の待遇の悪さを助長してきた。女性が日本企業で管理職や役員に昇進する割合はほかの先進国に比べて低い。長時間労働など正社員の負担が重い日本の雇用慣行が、子育て世代の女性を仕事から遠ざけている面も無視できない。

下図のように女性の労働参加率は年々上昇しているものの、子育ての年代で下がるM字カーブは残り、男女が同等に活躍するスウェーデンと比べるといまだ大差がつく。安倍政権は、保育所や学童保育施設の整備を急いだり、各企業の女性登用状況を調査して公表したりする計画を打ち出した。政府税制調査会では所得税の配偶者控除見直しも議論中だ。

女性の労働参加は、成長力の大きな源泉になる。雇用慣行の修正など時間のかかる作業が多いが、子育てと両立しながら男性と女性が同等に働ける環境づくりが急務だ。

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