2014年の新語・流行語大賞にノミネートされた「消滅可能性都市」。人口減少への危機感を高めたこの言葉は、日本創成会議・人口減少問題検討分科会が14年5月に打ち出した。

従来の政府推計に比べ、地方から都市への人口流出を多く見積もり、10~40年に20~39歳の女性人口が半分以下に減ると推計される自治体を指す。その数、全国の市区町村の半分に当たる896自治体。青森、岩手、秋田、山形、島根の5県では8割以上の自治体が当てはまり、東京・豊島区や埼玉・三郷市など首都圏にも該当する自治体がある。

00年代後半から人口減少に転じた日本だが、現在足元では年20万人強の減少で推移している。政府の中位推計では、このまま行くと20年代初めに年60万人減、40年ごろには年100万人減と減少速度が加速し、総人口は48年に1億人割れ、60年には8674万人(13年比3割弱減)まで減る見通しだ。

こうなると地方の疲弊だけでなく、経済成長力の低下や少子高齢化による社会保障費負担の増大などの問題も深刻化してくる。これに対し、内閣府に設置された「選択する未来」委員会が14年5月の中間報告などで示した将来推計が注目を集めている。

厚生労働省の調査で、日本の若年層が産み育てたいと思っている子どもの数は平均2人強であることがわかっている。子育て支援策の倍増などで30年をメドにそのような状況を実現すると人口減少のスピードは大きく緩和され、最終的に60年以降も1億人程度の人口を維持できるとの推計を示した。

ただその後、官邸の「まち・ひと・しごと創生本部」が長期ビジョンの骨子案に出生率の具体的な数値を盛り込むと、「戦前の『産めよ増やせよ』のように出産を強制する社会になりかねない」との批判も出た。解散直前の臨時国会では人口対策を含んだ地方創生関連法案が成立したものの、子育て支援策の財源確保を含め、人口1億人維持への道は緒に就いたばかりで実現性は不透明だ。

こうした動きとは別に、すでに不可避となっている高齢者急増に対し、医療・介護の提供体制改革を進める動きも急になっている。