欧州債務危機の発生からもうすぐ5年になる。だが、ユーロ圏が経済成長、金融の安定、政治的結束を取り戻すにはなお程遠い。

確かに、財務の健全性指標には一部で事態の鎮静化を示す兆候も見られる。欧州の株価は2011年の安値から約60%上昇し、各国政府の借入コストは記録的な低水準にまで下落した。ここ3年間、危機の中心にあったスペインとイタリアの10年債利回りは、今では米国債の利回りを下回るほどだ。

ただ、欧州債務危機が発生した直後のパニックが収まると、実体経済の憂慮すべき実態が明るみに出た。

多額の債務と需要低迷 停滞から抜け出せない

ユーロ圏は13年第2四半期(4~6月)に、2年に及んだ景気後退から脱却したが、それ以降の景気回復は国によってまちまちだ。スペインは14年第3四半期(7~9月)に年率換算0・5%の成長率をなんとか達成。6年間で27%という過酷なマイナス成長に苦しんだギリシャも、ようやくプラス成長に戻った。

だが両国とも、危機発生前の状態には遠く及ばず、若年層の失業率は50%近い。国の福祉、年金、公債の観点から見ると、若年層の高すぎる失業率は残り時間が刻々と減っていく時限爆弾のようなものだ。

ドイツ、フランス、イタリアといったEU(欧州連合)主要国の経済も、もはや周辺国のリスクと無関係ではない。欧州一の経済大国であり、単一通貨を牽引する立場にあるドイツはこの6カ月間かろうじて景気後退を免れている程度だ。フランスとイタリアも停滞が続くと欧州委員会は予測する。この3カ国の経済成長は、ユーロ圏全体の経済成長の65%を占めるにもかかわらずだ。

ユーロ圏の停滞の原因は根深く複雑だ。各国政府は、過去の政権から引き継いだ債務残高や、過去に行われた過剰融資が生んだ実体経済の落ち込みを回復させようとしてきた。07~08年にかけて発生した世界的な金融市場の暴落や欧州債務危機は構造的な問題の一端にすぎない。

現在ユーロ圏が直面している喫緊の課題は、各国政府の競争力強化のための改革を急ぐこと、前向きな投資を促すこと、弱体化し分断された銀行の機能を強化することだ。