日本の不動産市場に久方ぶりの楽観論が広がっている。

「Aクラスのオフィスビルの賃料は2015年も7~8%増と継続的に上昇する。売買高も14年と比べて15~20%アップするのではないか」 

米国シカゴに本拠を置く不動産サービス会社、ジョーンズ ラング ラサール(JLL)の河西利信・日本法人社長はこう予測する。

オフィス仲介の三鬼商事によると、東京都心5区の平均賃料(新築ビル、14年10月)は1坪当たり2万7000円。07年に3万5906円をつけたが、リーマンショック後の11年の2万2473円を底にここ数年は2万円前半で推移してきた。しかし、ようやく上向き始めている。

楽天が東京都品川区東品川から世田谷区の二子玉川駅前へ移転(15年8月予定)、ヤフーが港区赤坂から千代田区紀尾井町の旧グランドプリンスホテル赤坂跡地に移る(16年5月以降)など、有力テナント企業の移転、増床ニーズは引き続き強い。都心5区の平均オフィス空室率は5.6%(10月)まで低下した(前年同期は7.5%、三鬼商事調べ)。

さらに、14年の特徴は、この賃料の上昇ペースがAクラスにとどまらず、Bクラスのビルにまで拡大している点だ。16年までオフィスの大量供給がないことが市況を下支えしている。また地域的に見ても、賃料回復の勢いは、出遅れていた大阪などの地方都市へも広がっている。

売買市場も堅調だ。JLLによると、商業用不動産の直接投資総額は、東日本大震災のあった11年を底に(2兆円弱)、徐々に回復し、14年は4.5兆円強と見込まれている。7兆円を超え、「ミニ不動産バブル」とはやされた07年ほどではないものの、売買市場の回復の足取りはしっかりしている。