放射線化学を専攻した科学者としての知見を生かした歯切れのよい経済論、政策論で知られる異色経営者。2015年4月には経済同友会の代表幹事への就任が内定している。財界の新リーダーは波乱の年をどう読むのか。

こばやし・よしみつ●1946年生まれ。71年東京大学理学系大学院修了。74年に三菱化成工業(現三菱化学)入社。2007年から三菱ケミカルホールディングス社長。11年から経済同友会副代表幹事。(撮影:尾形文繁)

──経済同友会では、どのような方向性を目指しますか。

「宿命に耐え、運命と戯れ、使命に生きる」というのが私のモットー。エネルギーや資源のコストが高い日本に生まれた宿命を背負いつつ素材メーカーで働いてきましたが、今後は社会のために働くのが使命だと思ってお引き受けしました。

同友会は基本的に個人加盟で、自由な形の議論をして、提言や具体的な行動に結び付ける組織です。一方で日本経済団体連合会は各業界の意見を集約する場所で、調整を重んじるエスタブリッシュメントの世界でしょう。そことの違いを明確にしないと、同友会は第2経団連というふうに思われてしまう。

──経団連と差別化するポイントは政治との距離感でしょうか。

政治との関係については是々非々。自民党政権を無条件で支持するわけではない。政治と経済は両輪であって、連携も必要ですが、独立していないと両方とも変な方向に行く危険性もないわけじゃない。距離が一定程度は必要だと思います。

ポイントは、グローバルな視点。政策的に日本だけが特殊なハンディキャップレースを強いられている現状を訴えていくしかないということ。海外企業とフェアな戦いをするための環境づくりは強く求めていくことになるでしょう。

アベノミクスの第1の矢、金融緩和で円安が進んだのは歓迎できます。第2の矢である財政出動も、失業率の低下という成果をもたらした。問題は第3の矢である成長戦略です。また、これからは「第4の矢」として財政規律の強化も考えるべきです。第3の矢と第4の矢に、同友会がどうかかわっていくかが問われる。政治との接点はまさにそこになるでしょう。

──円安が続けば生産拠点が日本に帰ると見る向きもあります。