気鋭の英エコノミストで貨幣論に詳しいフェリックス・マーティン氏に、ビットコインや「黒田バズーカ第2弾」について聞いた。

Felix Martin●1974年生まれ。英オックスフォード大学で経済学博士号を2006年取得。98〜08年世界銀行に勤務、旧ユーゴスラビア諸国の復興支援に携わる。13年、英資産運用会社のパートナー兼エコノミスト。ロンドン在住。ⒸBarney Jones

──『21世紀の貨幣論』を書いたきっかけは何でしょうか。

(2008年の)金融危機後、通貨への関心が英国で高まる中、通貨の歴史について、人々に理解を深めてもらいたいと思いました。それを知らずに、金融政策でオルタナティブ(非伝統的な手法)を採用すべきかどうか議論するのは困難だからです。

──仮想通貨のビットコインをどう見ますか。管理会社は破綻しましたが、インターネット上ではいまだに流通し続けています。

ビットコインには二つの側面があります。一つは、国家や中央銀行の発行によるものでない「民間通貨」という点です。同じイデオロギーの下に集まったグループが発行する民間通貨は歴史上、これまでにも数多くありました。ビットコインには、国家の金融制度にとらわれまいとするイデオロギーがあります。

ビットコインのような「暗号仮想貨幣」は、何ら問題なく流通し続けることができます。幅広い支持は得られなくても、存在を阻むものは皆無です。こうした「交換価値の自己増殖」、つまり、民間通貨の創造・流通の制御は不可能であり、通常は好ましくありません。民間通貨が国家の金融秩序に脅威をもたらしうるのは、国家の通貨と大々的に競合できる状況に限られます。たとえば超インフレなど、国家の通貨が本来の役割を果たせないときです。

二つ目は、ビットコインに組み込まれた支払いツール「分散型パブリックレジャー(公開台帳)」が新奇で、興味深い点です。この電子公開台帳には、ビットコイン使用者の信用履歴などが記録されます。専門家によれば、「極めて廉価で安全、迅速で効率的な記録方法」です。

──ビットコインの問題点は。