ちょっと旧聞に属するが、11月4日の日本経済新聞に恐ろしい記事が出ていた。「石油供給能力1割削減」というのがそれである。

報道によると、「石油元売り大手5社は2016年度までに、ガソリンなどを製造する能力を合計1割程度削減する方針を固めた」らしい。

民間企業の経営判断としては「あっ、そう」くらいのことだ。少子化高齢化でマーケットがシュリンクしていく中、企業経営としては正しい判断だろう。

しかし、これが経済産業省の指導によるものとなると、話は別だ。報道によれば、経産省は6月、産業再編を目的とした産業競争力強化法50条を石油業界に初適用し、需給構造などを調査。その結果、国内製油所の処理能力が2~3割過剰と判断し、まず1割の削減を業界に求めたのだ。

筆者は、昭和40年の「住金事件」を思い出した。不況の中にあった鉄鋼各社は自主減産という協調を模索していた。そのとき、住友金属工業が敢然、和歌山製鉄所4号高炉の新設に着手したのである。

当然、業界は猛反発。事案は通産省(現経産省)の調停に持ち込まれた。当時の通産事務次官は、城山三郎の代表作『官僚たちの夏』のモデルとされる、“ミスター通産省”佐橋滋。経済政策は国家が主導すべきと考えていた。

対して当時の住金社長・日向方齊は「民間の経営問題に行政が介入するのはおかしい」と真っ向立ち向かった。

「大きな政府」目指す