握手を交わす中西・日立製作所会長(左)とシュピースホーファー・ABB社CEO

日立製作所とスイスの重電大手・ABBは、2015年4月をメドに、国内向け電力流通の高圧直流送電(HVDC)事業で合弁会社を設立することを発表した。出資比率は日立が51%で、ABBが49%。東京に拠点を置き、両社から2名ずつ役員を送り込む予定だ。

日本では16年に電力小売りの自由化、18年に電力会社の発送電分離が控えており、送電設備の需要が増える見込み。特にHVDCは、再生可能エネルギーを送電する際に有効な技術だ。

たとえば、洋上風力や離島での太陽光発電などは、遠隔地に電力を送ることが多い。通常の送電は300~400キロメートルが限界といわれており、それを超える長距離の送電ではHVDCの使用にメリットが出る。

これまで日立は日本で設置された九つすべてのHVDCプロジェクトに参加し、国内では突出した実績を誇る。にもかかわらず、日本市場にわざわざ海外企業を呼び込んだのには、理由がある。

日立が手掛けてきたのは他励式HVDCという技術だが、今後需要が見込まれるのは自励式HVDCだ。部品のパワー半導体の違いにより、自励式のほうが、出力の不安定な再生可能エネルギーで作った電力を、より安定的に運ぶのに適している。

日立も自励式の技術開発を進めてきたが、運用実績がない。ABBは世界で完工済みの自励式15サイトのうち14サイトを手掛けてきた。日立の中西宏明会長兼CEOは、「何でも自前主義なのは投資効率が悪い」と述べ、自社製品にこだわらない姿勢を見せた。