相次ぐ「GoTo不正」で浮き彫りとなった深すぎる闇 ネット旅行社で浮上、HIS事件との共通点も散見

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調査報告書から不正の経緯を読み解くと、あまたの問題点が浮かび上がった。

事業の再開に向けて課題が山積している(記者撮影)

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旅行業界を揺るがす「Go Toトラベル不正問題」。その闇の深さが浮き彫りとなった。

旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)の子会社に続き、2月にGo To トラベルの不適切な申請が判明したネット専業の旅行会社・旅工房。同社は3月2日、西村あさひ法律事務所の高橋宏達弁護士を委員長とする第三者委員会の調査報告書を公表した。

旅工房は個人客に向けてパッケージ旅行を企画・販売し、航空券やホテル宿泊などの旅行商品を販売している。売り上げの大半が海外旅行で、ネットを駆使しつつも、コンシェルジュによるサービスを併用するのが特徴だ。顧客は30~40代の女性が中心となっている。

最大で4億円の損失が発生

調査委員会は焦点となった旅行商品について、不泊が多かったことなどから、給付金の対象とすることが不適切とされる可能性があると結論付けた。旅工房は今回の件で、仕入れ先に対して計上している債務が3億1370万円。地域共通クーポンについてもGo To トラベル事務局から9362万円分の返還を求められる可能性があり、最大で4億円超の損失が発生する可能性がある。

また、旅工房については積極的に不適切な催行に関与したわけではなく、Go To トラベルの仕組みから不当な利益を得ようとする取引先に利用された可能性を指摘した。調査報告書から不正の経緯を読み解くと、渦中の旅行商品を取り巻く奇妙な状況やHISグループの問題との関連性、Go To トラベル全体の課題など、あまたの問題点が浮かび上がった。

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