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「コロナ禍で大学の研究環境に深刻な影響」 「クオータ制と女性の政治参画」ほか

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有力機関による調査・研究リポートからビジネスに役立つ逸品をえりすぐり、そのエッセンスを紹介。

コロナ禍で大学の研究環境に深刻な影響

── 小規模大学で研究活動が停滞や停止に追い込まれている

・文部科学省 科学技術・学術政策研究所「新型コロナウイルス感染症による日本の大学における研究活動への影響」(2022年1月)
・文部科学省 科学技術・学術政策研究所 科学技術予測・政策基盤調査研究センター研究員 西川 開
大学研究者からは「国際的活動ができない」「社会調査や人を対象とした実験が難しくなってきている」などの懸念も(撮影:梅谷秀司)

論文数の減少など日本の大学の研究力低下が指摘されて久しいが、今般のコロナ禍は研究環境に深刻な影響を与えていることが予想される。本リポートは研究者を対象としたアンケート調査を基に、研究活動への新型コロナウイルス感染症の影響を横断的に明らかにし、コロナ禍を踏まえた科学技術政策のあり方を検討する際の材料や手がかりを提供している。

科学技術・学術政策研究所(NISTEP)は「NISTEP定点調査」という継続的なアンケート調査を実施している。本リポートは、2020年の「定点調査」の一部として実施した「新型コロナウイルス感染症による研究活動への影響」に関する調査のうち、大学所属の自然科学系研究者1176人の回答を分析対象としている。

分析の結果、研究活動の局面に応じて影響の度合いが異なることが明らかとなった。「研究室や実験室へのアクセス」「移動や異動」「情報収集」「(研究者間の)コミュニケーション」などにはマイナスの影響が大きいが、学内業務や教育業務が軽減されたことにより「研究時間」にはプラスの影響もあった。

影響度合いは、大学が立地する地域の感染率や、論文数で見た大学の規模(以下規模)、研究分野の違いにより異なることも明らかになった。感染率の高い地域の大学や規模の小さな大学の研究者ほど研究活動が停滞または停止に追い込まれている。

規模の小さな大学は「研究室や実験室へのアクセス」「共用施設・設備の利用」などの局面で大きな影響を受け、感染率の高い地域の大学ほど「移動や異動」「研究データ収集」「共用施設・設備の利用」などの局面での影響が大きい。

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