脱炭素が迫る「全マンション省エネ化」の高いカベ 空調から給湯まで、あの手この手で効率化図る

✎ 1 ✎ 2
拡大
縮小

活況に沸くマンション業界で「ZEH」と呼ばれる省エネマンションが登場しつつある。コストがかかる分をどう工夫するか。デベロッパー各社の取り組みを追った。

三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」は省エネを売りにしたマンションだ(記者撮影)

特集「マンション大変貌」の他の記事を読む

脱炭素の潮流が、ついにマンション業界にも押し寄せている。

千葉県浦安市の湾岸沿いに立つ、三菱地所レジデンスの大型分譲マンション「ザ・パークハウス 新浦安マリンヴィラ」。2021年10月に竣工した第1工区(234戸)はほぼ完売。建設中の第2工区(294戸)も約130戸が成約済みだ。

JR新浦安駅からバスで十数分と、「駅チカ」ではないにもかかわらず販売が進んだ要因は、東京湾を目と鼻の先に臨む立地だけではないようだ。

三菱地所レジデンスの宮島正治社長が「環境配慮というキーワードに注目する顧客が増えた」と話すように、このマンションは三菱地所レジデンス史上、最も省エネを推し進めたマンションだからだ。

年間10万円の光熱費を削減

それを象徴するのが、マンションの屋上に敷き詰められた太陽光パネルだ。通常のマンションの数十倍に相当する、1日あたり400キロワットの発電容量を誇る。生み出した電力を給湯に利用し、水道光熱費を戸当たり年間10万円程度削減できるという。

さらに、住戸の断熱性強化や節水性の高い機具の導入、再生可能エネルギー由来電力の一括受電など、CO2(二酸化炭素)の排出量削減に余念がない。

次ページZEH化に及び腰だったマンション業界
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内