三菱UFJが模索する「金融サービス」発想の転換 亀澤社長「誰と組んで、どうやるかが重要」

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コロナ禍で高まった企業の資金需要はいったん落ち着いたものの、金融機関にはさまざまな役割が求められている。

亀澤社長はデジタル化の取り組みの成果ついても語った(撮影:梅谷秀司)

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トップに就く前は三菱UFJフィナンシャル・グループのデジタル化を任されていた亀澤宏規社長。社長就任後も2021年4月にデジタルサービス事業本部を設置し、その取り組みを加速させている。
2022年の展望に加えて、デジタル戦略の考え方についても詳しく聞いた。ポイントは「サービスを機能ごとのレイヤーで考えること」にあるという。

 

――2022年、新型コロナウイルスの影響をどう見ていますか。

コロナについては、ワクチンと治療薬の効果が見えていることが大きい。2022年はGDPがコロナ前の水準に戻ると思う。全体としては経済はかなりよくなっており、当初の想定と比べると回復は1年半から2年ぐらい早い。

一方、企業の資金繰りはいろんなサポートで支えられているため、不透明だ。経済が回復しても、飲食やサービス業など、いろんな業種が苦しんでいる状態は変わらないだけに、どうなるかをよく見ていく必要がある。

――すると、資金需要や与信費用はどうなるでしょうか。

2020年以降ものすごく高まった資金需要はいったん落ち着いている。ただ、今後は“折り返し”で、無利子・無担保融資などは返済が始まる。会社がどれだけ立ち直ったかをよく見ながら対応していく必要がある。

三菱UFJフィナンシャル・グループとしては、足元で与信費用が大きく減っており、過去の平均よりも少ない。やや変な形になっている印象があり、警戒は怠れない。

デジタル化に一定の手応え

――金融機関には、不振の業種に対する事業再生などの支援も求められます。

これからそういう話が出てくると思う。資本性ローンなどの相談も出てくるだろう。企業の状況をよく聞いて、支援していきたい。

一方で、この2年間に変化のスピードが早まり、デジタルニーズがドンと出てきている。顧客も対応に追われ、ニーズが量・質ともに拡大している。これまで、課題としていたソリューション力を発揮するのが、まさに今なのだろう。

――銀行自身もデジタル化を迫られています。

個人の生活はすでにデジタル化している。私自身も本などは電子書籍でどんどん買っている。一方、法人は、うちの会社もまだまだ紙が多いし、業務プロセスがデジタル化されていない。

だからこそ、2021年4月にデジタルサービス事業本部を作って、デジタル化を加速してきた。それもあって、NTTドコモと提携したデジタル口座や、スマホ起点で他社商品を含めた金融商品を提供する「Money Canvas」などが実現しつつある。

――デジタルを活用した新サービスは増えていますが、これらが収益につながるのかという点では疑問の声もあります。

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