ビデオやカセットの「磁気テープ」驚く生き残り術 富士フイルムがAI時代を見据え独自技術を磨く

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音楽や映像の保存用に使われていた「磁気テープ」が、いま再び脚光を浴びている。撤退企業が相次ぐなか、生産を続ける富士フイルムの戦略とは。

世界のプラットフォーマーからの採用が引きを切らない(撮影:梅谷秀司)

磁気テープと言えば、ビデオテープやカセットテープなど、音楽や映像の保存用に広く使われた20世紀を代表する技術のひとつだ。21世紀に入り、その座はDVDやハードディスクドライブ(HDD)、半導体を使ったソリッドステートドライブ(SSD)に取って代わられた。

そんな磁気テープがいま、再び脚光を浴びている。

アメリカ、ノースカロライナにあるグーグルのデータセンター。ロボットが縦横無尽に動き回り、記録メディアを出し入れしてデータを保存、取り出している。ここで使われているのはHDDではなく、磁気テープだ。いまグーグルやマイクロソフトといった世界のプラットフォーマーが磁気テープをデータの保存・利活用のためにこぞって採用している。

磁気テープはベースとなるフィルムに磁石の特性をもった微粒子である磁性体を分散・塗布し、磁気を利用してデータを記録するメディアだ。HDDよりもデータのアクセス速度は遅い。【2022年1月11日11時追記】初出時の表記を一部修正いたします。

だが、データを50年以上保存できるうえ、消費電力が圧倒的に少なく、HDDと比べてCO2(二酸化炭素)の排出量を最大95%削減可能だ。実は技術進化も止まっておらず、今後さらなる大容量化のロードマップが示されている。こうしたこともプラットフォーマーからの信頼の裏付けとなっている。

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