SDGsが森を壊す 異説知り、常識を疑え 森林ジャーナリスト 田中淳夫氏に聞く

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たなか・あつお 1959年生まれ。静岡大学農学部を卒業後、出版社、新聞社などを経て、フリーランスの森林ジャーナリストに。森と人の関係をテーマに執筆。『絶望の林業』『獣害列島』『森林異変』『森と日本人の1500年』『樹木葬という選択』など著書多数。
虚構の森
虚構の森(田中 淳夫著/新泉社/2200円/263ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
「地球上の森林面積は40年前に比べ増えている」「アマゾンの熱帯雨林は温暖化を助長している」──。これまでに得た知見に加え、世界中の研究の渉猟から、知られていない定説や異説を並べ、森林に関する私たちの常識を揺さぶる。SDGsのため、誤解に基づく対策が推進されると、環境破壊がかえって悪化しかねないという危機感ゆえだ。

破綻状態のバイオマス発電 パーム油代替は環境負荷大

──25年前に『「森を守れ」が森を殺す!』を出版しています。

テーマは同じです。林学を学んだ人間として「世間の森に関する常識はおかしい」という気持ちがあった。若かったので「おかしい」と断言したけれど、経験を積むと物事はそう単純じゃないとわかってきた。今回は、1つの事象にはいろいろな見方があることを提示したほうがいいと思いました。

森林や環境に限らず、人々の考える機会が減っているという危惧があります。考えないと、声高な主張に引きずられ、それに異を唱える人を異端視してしまう。取り上げた異説は、私にとっても気持ちの悪いものがあるが、裏付けるデータがあるなら無視してはいけない。いろんな意見に接して情報リテラシーを磨く必要があります。

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