野村HD「ビジネスモデル変革」へ問われる覚悟 奥田社長「存在意義含め10年後を議論している」

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2025年に創業100周年を迎える野村ホールディングス。大変革期の中で、ビジネスモデルを転換していくのか。奥田社長に聞いた。

2025年に創業100周年を迎える野村ホールディングス。積極的な海外展開の一方で、大きな損失を計上した(記者撮影)

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証券業界にトップとして長らく君臨してきた野村ホールディングス(HD)。単純な口座数ではネット系大手の楽天証券やSBI証券に抜かれたとみられるものの、預かり資産の大きさや海外展開の規模では同業他社を圧倒している。
ただ、積極的な海外展開の一方で、直近2年間は純利益ベースで合計3000億円規模のマイナス影響を受けた。国内の地位を保ちつつ、海外事業をどうコントロールしていくのか。奥田健太郎・野村ホールディングス社長に聞いた。

“サービスの質”を改善していく

――「貯蓄から資産形成へ」という証券業界が数十年来取り組んで来た宿題に、2022年はどう向き合いますか。

証券会社のビジネスの在り方を変える必要があると考えている。従来、証券会社はお客様が得をしているときでも損をしているときでも手数料が入ってくるビジネスモデルだったため、批判されてきた。(2020年4月の)就任当時からこのモデルを見直し、お客様の資産全体の運用を支援する形に変えようとしている。

ただ、手数料体系を変えるだけでサービスの質がよくならないと、お客様の側に(手数料の支払い方を)変えるインセンティブがない。そこで、「CIO(チーフ・インベストメント・オフィス)」を立ち上げ、個人向けにも機関投資家や年金の運用会社と同等のポートフォリオ運用ができるチームを作った。「ノムラ・ナビゲーション」というツールも用意し、時間をかけてでも移行を促していこうとしている。

足元では残高ベースの手数料体系を約20店舗で導入し、お客様が選べるようにした。必ずしもこれ1つで(手数料モデルの移行が)できるとは思っていないが、これまでやったことのない取り組みだ。ほかの証券会社も同じようなサービスを始めており、業界全体で動いていけると考えている。

商品の高度化も進める。例えば私募のREIT(不動産投資信託)はかなり進んできている。現状は(少人数しか募集できない)私募でやっているためあまり広く提供できていないが、低金利が続く中で、投資家のニーズに合致すると考えている。今後個人投資家も含めて広く提供できれば、さらに伸びるはずだ。

――法人向けのビジネスでは、グリーンボンドやサステナビリティボンドなど、ESG関連の資金調達が活発化しています。

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