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習近平「3期目」へ曲折、台湾めぐる緊張続く 中国政治

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米中首脳会談はようやく実現したが歩み寄りには限界(AFP/アフロ)

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2022年の中国政治で最大の注目点は、秋に予定される中国共産党第20回全国代表大会で習近平総書記(国家主席)がどのように処遇されるかである。習政権は2018年3月に国家主席の「2期10年」の任期規定を撤廃した。制度上はたとえ習近平が党内で無役であっても国家主席を続投することに問題はないが、中国政治においては政府職より共産党での役職が重要である。

焦点は習近平が中央委員会総書記として3期目に入るのか、あるいはより権限の強い中央委員会主席(党主席)の職位を復活させるのか、である。2021年11月の6中全会で採択された「歴史決議」は「全党全軍全国各族人民は習近平同志を核心とする党中央の周囲にさらに緊密に団結」して、建国100年の目標に向けて奮闘すると記し、習近平体制の継続を示唆した。しかし党指導部は毛沢東時代への反省から1982年に最高指導者である党主席職を廃止し、総書記を中心とする集団指導体制に移行した経緯がある。党規約は「集団指導と個人の責任分担を組み合わせた制度」と党委員会を規定し、「いかなる形式の個人崇拝も禁止する」と明記する。集団指導体制を瓦解させる党主席制復活への反対は根強く、駆け引きが続く。

こうした習近平体制の帰趨は、党大会に向けた「習派」と呼ばれる側近の人事に懸かっている。とくに世代交代に伴う党政治局常務委員の再編が決定打になる。党組織には従来、「七上八下(67歳以下であれば留任、68歳以上であれば引退)」の暗黙の了解があった。党大会時の年齢からすれば習近平(69)のほか、栗戦書(72)、韓正(68)が対象となる。すでに11月に香港紙の明報が「之江新軍」(習近平の浙江省勤務時代の人脈)である李強上海市党委員会書記、陳敏爾重慶市党委書記の異動を伝えた。李希広東省党委書記や応勇湖北省党委書記の動静も注目される。

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