住宅購入を後押ししていた減税制度が揺れている。写真はイメージ(記者撮影)

「住宅取得をサポートする意味で大変重要だ」

11月22日、大手デベロッパー各社が加盟する不動産協会が開いた記者会見。理事長を務める三井不動産の菰田正信社長はこう強調した。直前に開かれた理事会での議題は2022年の税制改正。議論の中心に据えられたのは「住宅ローン減税」だ。

住宅ローン減税とは、年末時点での住宅ローン残高の1%に当たる金額を所得税などから控除する制度だ。ここへきて住宅業界が神経を尖らせる理由は、1%という控除率が引き下げられる可能性があるためだ。

斉藤鉄夫国土交通大臣は11月19日の記者会見で「控除率等のあり方を来年度(2022年度)の税制改正において見直す」と明言した。

会計検査院vs住宅業界

住宅業界にとって控除率の引き下げは看過できない問題だ。現行制度では、控除期間である13年間で最大480万円の税金が戻ってくる。

住宅価格が高騰を続ける中、デベロッパー各社は住宅ローン減税によって税金が還付されると広告で強調し、住宅価格の値頃感を演出している。控除率の引き下げは取りも直さず還付額の減少を意味するため、住宅購入意欲を冷え込ませかねない。

税制改正の議論はこれから本格化するが、住宅業界では「控除率の引き下げは既定路線」と諦めの声も漏れる。ところが、仮に控除率が引き下げられても、住宅購入者にとっての恩恵はさほど縮小しない見通しだ。そのカラクリの背景には、減税措置をめぐる国と住宅業界との間の政治力学がある。