有料会員限定

「ウッドショック」が問い直す日本の木材安全保障 住友林業社長が警鐘、国内林業の深刻な実態

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小

「ウッドショック」と呼ばれる木材不足と価格高騰に見舞われた2021年。住友林業の光吉敏郎社長は、その背景にある日本の林業が抱える深刻な現状に警鐘を鳴らしている。

住友林業の光吉敏郎社長は「ウッドショックは日本の木材安全保障の問題を浮き彫りにした」と語る(撮影:今井康一)

特集「トップが語る大予測2022年」の他の記事を読む

2021年の住宅業界は、「ウッドショック」と呼ばれる世界的な木材の供給不足と価格高騰に見舞われ、国産材に改めて注目が集まった。一方、需要が増えても供給面でそれに対応できない日本の林業の脆弱性もまた浮き彫りになった。
2022年以降、「木」をめぐる動きはどうなっていくのか。国内ハウスメーカー大手で、林業再生事業に取り組む住友林業の光吉敏郎社長に聞いた。

木材価格はコロナ前には戻らない

――住友林業の住宅事業はアメリカが稼ぎ頭です。2022年以降も住宅需要は続きますか。また、木材価格の先行きをどうみていますか。

木材高騰の震源地であるアメリカでは、コロナ禍で在宅勤務が普及し、中古住宅の流通在庫も激減して、新築住宅へのニーズが瞬く間に高まった。

アメリカの人口は増えていて、増えている人口の年代も「Z世代」と呼ばれる25歳から34歳、「ミレニアル世代」の35歳から44歳の比率が一番大きい。この人たちが住宅購買層で、現状でも約400万戸の供給が不足している。

住宅着工数が好調な状況が続くと、コロナ前の木材価格には戻らないのではないかというのがわれわれの見立てだ。中国では建築だけでなく、土木でもかなり木材を使う。ここに木材が集まり、世界の木材価格高騰に大きな影響を与えている。

木材のみならず、銅や鉄骨、原油を材料とする接着剤も高騰している。コロナ収束後に経済が本格的に復活してくると、人件費の上昇も深刻化すると思う。

次ページ林道の整備が追いついていない
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
特集インデックス
トップが語る大予測2022年
室蘭市と連携して浮体式の洋上風力発電を開発
住友林業社長が警鐘、国内林業の深刻な実態
堀社長が語る今後のエネルギー投資の進め方
伊達社長「ホテル需要は消えない」
コロナが「何を守り、変えるか」の判断を促した
太田社長は金融グループ「2つの強み」を強調
深澤社長が語る巨額赤字からの脱却戦略
鈴木社長「アメリカでの戦闘態勢は整っている」
山口社長は増産投資に加え工場新設も示唆
村田社長「取引先と一緒に再生することが第一」
モスバーガー、社長も手応え感じた「成長の秘策」
ニューノーマル見据えて新たな店舗形態を準備
日立、「コングロマリット限界説」に新社長が反論
大谷選手のような「二刀流」を目指したい
花王が追求する「日用品だけに頼らない」生き方
長谷部社長「ライフケアカンパニーを目指す」
マンダムが「不文律」を壊して挑む新ブランドの形
創業家の西村社長「ギャツビーに甘えていた」
野村HD「ビジネスモデル変革」へ問われる覚悟
奥田社長「存在意義含め10年後を議論している」
三菱UFJが模索する「金融サービス」発想の転換
亀澤社長「誰と組んで、どうやるかが重要」
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内