10月上旬に新薬候補の開発中断を発表するまで、株価は3000円台後半で推移していた

実に13年ぶりとなる自己株買い(上限1000億円)を武田薬品工業が打ち出した。      

「今の株価は過小評価されている。強力なキャッシュフローを生かして取得するいい機会だ」。10月下旬の中間決算発表でコスタ・サルウコスCFOは理由をそう説明した。実際、足元の株価は冴えない。期待の新薬候補の臨床試験中断を発表した10月上旬以降、3700円前後だった株価は一時3200円を割っていた(詳しくは、武田薬品、投資家の「失望」を招いた新薬開発の中断)。

クレディ・スイス証券の酒井文義アナリストは今回の自己株買いについて、「今後、主力製品に相次いで後発薬が参入してくる影響で、キャッシュフローはさらに傷む。今はこの規模の自己株取得ができるぎりぎりのタイミング」と解説する。主力製品の特許切れで、早ければ2023~24年に他社から後発薬が相次いで発売され、売上高の急減は免れない。

PBR1倍割れの意味

今回の自己株買いで注目すべきは、株価の急落によってPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回ったタイミングで発表されたことだ。