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「女性の雇用・所得格差がコロナ禍で拡大」 「Go Toトラベル再開の経済効果」ほか

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有力機関による調査・研究リポートからビジネスに役立つ逸品をえりすぐり、そのエッセンスを紹介。

女性の雇用・所得格差がコロナ禍で拡大

── 正規雇用の増加と非正規雇用の減少

・日本総合研究所「女性雇用改善のために求職者支援制度の強化を」(2021年9月8日)
・日本総合研究所 調査部 副主任研究員 井上恵理菜
一斉休校中は自宅で子どもを見ながら仕事をするケースも。25〜54歳女性全体の労働参加率は休校の影響で0.6%ポイント低下したと推計される(PIXTA)

コロナ禍で、女性を中心に雇用格差の拡大、つまり「正規雇用の増加」と「非正規雇用の減少」が生じているという。本リポートは、女性に注目し、雇用格差の現状分析と解決のための政策提言を行うものだ。

性年齢別にコロナ禍の雇用への影響をまとめると、男性の働き盛り世代(25〜54歳)以外の世代では、コロナ禍前からのトレンドと比較して、就業者がそれぞれ20万人程度減少した。これには、男性の働き盛り世代には正規雇用が多いこと、それ以外の性年齢には非正規雇用が多く、コロナ禍では非正規雇用の減少幅が大きかったことなどが影響している。

雇用を失った人は、就業意欲を持つ場合は失業者、仕事を探していない場合は非労働力人口とされる。コロナ禍では、失業者が全性年齢で増加した。一方、非労働力人口は、男女の若年層と高齢層、女性の働き盛り世代で増加し、男性の働き盛り世代では増えていない。

筆者は、コロナ禍で女性の雇用格差が拡大している要因は3点あるという。1つ目は、産業構造・職種ニーズの変化だ。コロナ禍では、卸小売りや宿泊、飲食など、とくに対人サービス産業で女性非正規を中心に雇用が減少した。だが、正規では女性の雇用が増えている。デジタル化が進む企業や業務内容を変革できた企業では、業務上必要なスキルを持つ労働者を確保するために、正規化などの処遇改善が進んでいるようだ。

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