ANAが黒字目標の「未達」を悔やまない意外な理由 国内線は急回復、ローンで手元資金は潤沢に

✎ 1〜 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11
拡大
縮小

国内の旅客需要が急回復している。国内最大手のANAホールディングスはコロナ後の成長戦略をどう描くのか。片野坂真哉社長に聞いた。

ANAホールディングスの片野坂真哉社長は「(コロナ前に)過去の危機対応の実例を学んでいたことが大きい」と話す(撮影:尾形文繁)

特集「航空異変」の他の記事を読む

国内最大の航空グループ企業であるANAホールディングス。2022年3月期の業績見通しについて、1000億円の最終赤字になると10月末に下方修正した。
一方、足元ではコロナ感染者数が落ち着き、緊急事態宣言なども解除されたことで、国内の旅客需要は急回復している。
黒字回復の手応えはあるのか。また、コロナ後の成長戦略をどのように描くのか。ANAホールディングスの片野坂真哉社長を直撃した(インタビューは11月22日に実施)。

1000億円の赤字に抑えられた

――2015年に社長に就任して以来、コロナ禍に見舞われるまではANAホールディングスの業況は順風満帆でした。

社長就任からずっと増収・増益・増配だった。(経営者には)巡り合わせというものがあり、前任の伊東(信一郎)会長は最初にリーマンショック、(伊東氏の2つ前の社長を務めた)大橋(洋治)さんはセプテンバーイレブン(2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件)、(1997年から2001年まで社長を務めた)野村(吉三郎)元社長もアジア通貨危機に直面した。

2021年3月期も5100億円の赤字予想を立てて、結果として約4000億円(の赤字)で済んだ。今期は4分の1の1000億円(の赤字予想)に抑えた。やはり(社員は)頑張ったと思う。

――2022年3月期は期初に黒字化を見込んでいましたが、一転して1000億円の最終赤字予想に修正しました。旅客需要の見立てが楽観的すぎたのではないですか。

次ページ国内の旅客数は増えている
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
猛追のペイペイ、楽天経済圏に迫る「首位陥落」の現実味
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
ホンダディーラー「2000店維持」が簡単でない事情
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内