米FRBが量的緩和縮小へ インフレ下で正常化の難路

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米国の金融政策が正常化へ一歩踏み出したが、その前途は多難だ。

米FRBのパウエル議長は「インフレは想定以上だ」と述べ、高進するインフレへの警戒感をあらわにしている(ロイター/アフロ)

パンデミックによる未曾有の混乱と経済再開を踏まえ、今後もリスクに配慮し、あらゆる経済状況に対応できるようにしていく──。

11月3日、米連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリング(量的緩和の規模縮小)を決めた米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は記者会見でそのように言明した。

新型コロナ禍で経済と金融市場が大混乱に陥った2020年3月、FRBは実質ゼロ金利政策と量的緩和政策を復活させた。量的緩和については必要に応じて無制限で行う方針を表明。同6月からは毎月、米国債800億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)400億ドルを買い入れてきた。1年半余りで約4兆ドルの資金を市場に供給し、FRBの保有資産は約8兆ドルに倍増した。

FRBは今回、最大雇用と物価安定の目標に向けて「さらなる顕著な進展」があったとしてテーパリングを決めた。毎月の買い入れ額は11月から150億ドルずつ減り、22年6月にはゼロになる。金融政策の正常化に向けて一歩を踏み出した。

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