アプリ開始当初は80作品ほどしかなかった「ピッコマ」。今では圧倒的な存在感を誇っており、世界的にも有数のアプリに成長している(編集部撮影)
後発組ながら並みいるライバルとの競争を勝ち抜き、トップに躍り出た漫画アプリがある。カカオピッコマが運営する「ピッコマ」だ。ピッコマの2020年販売金額は376億円だったが、2021年は上半期だけで314億円(前年同期は128億円)に達した。
この勢いは、漫画アプリだけではなく、グローバルのアプリ市場でも有数だ。App Annieの調査によれば、2021年第1四半期において、ゲームを除いたアプリ市場でピッコマは消費支出(販売金額)で世界7位にランクイン。これはティックトックやユーチューブなど国際的なアプリに匹敵する水準だ。
2021年6月には600億円もの資金調達を行い、企業価値は8000億円超と評価された。漫画アプリの競争環境や巨額の資金調達の背景について、カカオピッコマの金在龍社長に聞いた。

「漫画が好きな人」を狙わない

――ピッコマの足元の成長を支えているのが、スマホで読むのに最適化した縦読みフルカラー漫画「スマトゥーン(ウェブトゥーン)」です。競合でもスマトゥーンに参入するアプリが増えています。

競合のアプリは漫画ファンにスマトゥーンをたくさん読ませて、(横読み漫画から)スマトゥーンへ移行させるという発想をしているのではないか。

多くの競合が勘違いするのは、「紙のユーザーをどうやったらデジタルで読ませられるか」や「アマゾンのkindleやLINEマンガで読んでいる人たちを、どうやって自分のアプリに連れてくるか」ということだ。それでは漫画の市場自体は大きくならない。

私たちの競争相手は、紙やデジタルの漫画ではなく、ユーチューブやネットフリックス、ゲームなどだ。業界の中ではなく、あくまでも外側と競争すべきなのだ。

重要なことはピッコマが、「漫画が好きな人」をターゲットにしていないことだ。われわれは、スマトゥーンで、そもそも漫画に興味がない人たちを連れてきて、深いコンテンツ(横読み漫画)にまで循環させている。私たちの新規ユーザーはスマトゥーンで終わりではなく、半年ぐらい経つと8割の人が横読み漫画と併用する。

既存の横読み漫画から(市場を)奪い取るわけではなく、むしろ日本の出版市場全体が上がることに貢献したいと思っている。

変な話、個人的には私はまだ漫画ファンには紙を買ってほしいと思っている(笑)。オンラインは便利だが、私も紙の雑誌で漫画を読みたい派だ。

――ピッコマといえば、業界で先駆けて「話売り(1話ごとの販売)」を始めて、今となっては他社でも採用しています。