ソニー、「オール9」の優等生決算に死角はないか すべての事業で着々稼ぐが、長期的には懸念も

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大ヒット不在でも業績は過去最高。ソニーの底力が際立った中間決算発表だったが、将来に向けた2つの懸念も浮き彫りに。

通期予想を上方修正し、過去最高の業績を更新するソニーグループ。各事業がまんべんなく稼いでいる(記者撮影)

大ヒット不在でも業績は過去最高――。電機大手のソニーが好調だ。

10月28日にソニーグループが発表した2022年3月期中間決算(2021年4~9月)は、売上高が4兆6262億円(前年同期比13.7%増)、営業利益が5985億円(同11.5%増)と、中間決算として過去最高を達成した。

同時に、年間の業績予想を上方修正。売上高は9兆9000億円(前年同期比10%増)、営業利益は1兆0400億円(同8.9%増)とし、前回8月4日に出した見通しから売上高を2000億円、営業利益を600億円引き上げた。年間でも過去最高の業績見通しとなり、営業利益は初めて1兆円の大台に乗る。

かつてない好業績のソニーだが、実は目下、”ホームラン級”の絶好調な商品や事業があるわけではない。ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」は世界的な品薄状態が続いているが、これは半導体不足により供給が進んでいないことも大きな要因。そもそも、ハード本体を売ったところで利幅は薄い。

裏を返せばソニーは今、グループの各事業がまんべんなく増収増益に寄与する、いわば通信簿が「オール9」のような状態だということだ。

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