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岸田首相の「聞く力」と有識者会議 「結論ありき」を変えられるか

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主要政策を進めるため、相次いで有識者会議を設置。事務局主導の「結論ありき」を変えられるか。

新しい資本主義実現会議で発言する岸田文雄首相(左)。左から2人目は山際大志郎経済再生担当相(毎日新聞社/アフロ)

総選挙が終わり、岸田文雄政権は本格的に始動した。すでに政権は、新型コロナウイルス感染収束後の経済・社会ビジョンを策定するため「新しい資本主義実現会議」を設置した。10月26日に初回の会議が開催され、11月に緊急提言を発する予定となった。

初回の会議では、事務局から「新しい資本主義の実現に向けて(論点)」「新しい資本主義(ステークホルダー論)を巡る識者の議論の整理」「参考資料(データ集)」が示され、半数ほどの委員からも資料が提出されている。

事務局提出資料は、おそらく中間報告・最終報告などに取り入れられることも予想したものであろう。すでに何らかの到達点が見えているかのようである。そして委員構成を見る限り、原案に個別の意見を述べることはできても、構想を投げ合って斬新な資本主義の姿を編み出せるとまではいいがたい。事務局主導の会議になりそうな雰囲気がすでにほの見える。

「結論ありき」が第2次以降の安倍晋三政権の諮問会議であり、結局、委員の個別意見を丁寧に取り上げるように見えて、事務局の案で突き進むことが最初から意図されていた。この新しい資本主義実現会議も、当初のつくられ方は安倍政権の会議に近い。安倍政権の性格を引きずる甘利明・自民党幹事長、高市早苗・同政務調査会長は経済産業省と関係が深いが、そうしたラインの発想が濃厚である。

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