ファンドを通じて世界中のベンチャー企業に投資しているソフトバンクグループ。孫正義社長の目線が変わってきた(撮影:尾形文繁)

ソフトバンクグループ(SBG)が抱える巨艦「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」はこれまで、世界中のベンチャー企業に投資を行ってきた。だが、日本のベンチャー企業に対する投資実績は1社もない。

2017年に発足した1号ファンドは約10兆円、昨年開始した2号ファンドも投資枠が4兆円超まで拡大している。投資先の数は2021年8月時点で、1号ファンドが92社(全持分の売却済み11社を含む)、2号ファンドは161社(投資完了前の43社を含む)に上る。投資先はすべて海外ベンチャーだ。

そうした中、「われわれが今投資をやる中で一番憂いてることは何かというと、ビジョン・ファンドはこれだけ投資しているが、日本での投資企業は1社もない」。2021年8月、SBGの後藤芳光CFO(最高財務責任者)は投資家向け決算説明会でそう語った。また、「日本のビジネスマンたちがわれわれの投資先になるような会社を作りあげてくれることを心から願っている」と話した。

軌を一にしてビジョンファンドはビジネスSNS「リンクトイン」などで、日本での投資担当者の人材募集を開始。日本での投資先探しを本格化しており、「第1号案件」が決まるのも時間の問題とみられる。

今回、東洋経済ではビジョンファンドでアジア地域の投資責任者(マネージングパートナー)の1人である松井健太郎氏を直撃。

松井氏は、孫正義社長から「日本も見ろと言われた」と話し、日本向けの投資チームを立ち上げたことを明らかにした。 なぜ今、14兆円の巨大ファンドは日本に目を向けたのか。その狙いを松井氏が詳細に語った。

 

――なぜこれまで日本のベンチャーに投資をしてこなかったのでしょうか。

そこは、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資方針、1号ファンドと2号ファンドの「違い」から、わかってもらえるだろう。